実証実験結果の概要
厚生労働省の提唱する地域包括ケアシステムの構築実現に向け、生活支援や介護予防といった社会課題に寄与することを目指し、地域包括支援センターを始めとした協力団体と連携し、自動車免許返納者を含むアクティブシニア層の外出支援や移動に係る課題およびニーズの調査を目的として取り組みました。今般、実証実験が終了しましたので、その結果をお知らせいたします。
50日間の実証期間中において対象者数約130人のおよそ1/4に当たる33人にご利用いただき、延べ乗車回数は98回となりました。利用者の半数以上は2回以上、5回以上の利用者も全体の20%以上を占めるなど、リピートする利用者が多くいることから高いニーズがあった事が覗える結果となりました。また、乗車後に行ったアンケートでは、利用の満足度について「大変満足/満足/普通/不満/大変不満」の5段階の評価のうち、すべての利用者が満足もしくは大変満足と回答しており、大変満足については全体の80%以上となりました。
参加者の動向
参加者の属性
各乗車数ごとの男女比および年代は下記グラフのようになっており、男性よりも女性に多く利用されておりました。また、年代としても利用対象としては50代〜が対象となったものの、実際の利用者は60代からで70代や80歳以上が多くなっております。これは介護施設の利用者を対象としているために、高年齢の方が母数が多いために偏っているものと思われます。
利用方法のニーズ
利用目的で最も多かった目的は病院への通院で全体の60%、次に多かった目的は買い物で全体の19%となっており、日常の生活に根ざした移動のニーズが高い事が覗えました。また、今後追加して欲しい行き先についてフリーワード形式のアンケートを実施したところ、病院やクリニック、スーパーなどの希望が多く、日常生活における身近な移動手段としてのニーズが高いことが分かりました。
予約方法
本実証実験では、予約方法としてスマートフォンアプリからの予約、電話での予約の2パターンを用意しておりました。結果として、70%近くが電話での利用となっており、現時点ではまだスマートフォンの利用にはハードルが有ることが覗えます。また、次点で多いその他については本来想定をしていなかった予約方法として、介護施設への通所時に予約を取るというものでした。
これは利用方法として突発的な需要だけでなく、事前に予定を立てて利用するという利用方法にも一定の需要があることを示唆していると考えられます。
実験の結果
今回の実証実験を行った結果、荷物持ち等の簡単な補助を行うことで買い物等の外出を行う利用者や、この取り組みがきっかけで外出した利用者がいた事から、今回ターゲットとしたアクティブシニア層においては、外出に対する関心は高く、外出における障害(本実証実験では移動に関する障害)を取り除くことができれば、積極的に外出する可能性があることが分かりました。
また、今回は利用者が通所している介護施設のスタッフが運転および介助、送迎を行っておりましたが、それにより「顔見知りの人が対応するため安心できる」、「通所日についでに予約している」という意見が見られ、より外出に対するハードルを下げることが出来たと考えられます。このため、地域包括ケアシステムにおける生活支援および介護予防に対する取り組みとして、外出支援を行うことで外出機会が創出でき、社会参加の促進が行える可能性があると認識しております。
おでかケア便とは
おでかケア便は株式会社ソニックスが提供している「クラウド型MaaSシステム(送迎車両運行管理システム)」を活用した福祉介護事業者向けサービスの名称です。
本「クラウド型MaaSシステム」は、ユーザーが予約を行うスマートフォンアプリケーション、車両やドライバーの運行管理を行うWebアプリケーションなどから構成されるシステムの総称で、今後送迎サービスの提供を検討される事業者・自治体の様々なニーズに合わせてオールインワンパッケージで提供することが可能です。